消化不良の原因と対策
近年リーキーガット(腸漏れ)が多くの病気の原因であることがわかってきました。
口から摂りいれた食べ物は消化されたのち腸で吸収されます。その時、腸は関所のように、体に必要なものは取り入れ、不要なものや毒素はそのまま排泄するというフィルターの役割を果たしています。しかし、この腸のフィルター機能が正常に働かず、毒素が腸管から血液の中に取り込まれてしまうと、血液は全身を巡りながら栄養を届ける役割がありますので、一緒に毒素も体中をめぐってしまうことになります。
アーユルヴェーダでは、5000年も前から”消化不良”こそ体の中に毒素をうみ病気の原因となるとしています。そして”消化不良”を起こさない食べ方、食べ合わせについて非常に詳しく説明してます。
例えばアーユルヴェーダの古典スシュルタサンヒター 第1巻総論編 第46章の中では、消化不良を起こす原因として以下のことをあげています。
消化不良を起こす原因
水を過量に飲むこと
不規則な食事
身体の自然の欲求を意志により抑圧すること
自然の欲求とは、(排便、排尿、ガス、射精、涙、空腹、喉の乾き、げっぷ、あくび、睡眠、嘔吐、くしゃみ、過剰な活動に伴う深くて速い呼吸の欲求)昼間寝ること
夜更かしすること
強い食欲にて軽い食事をとること
嫉妬、欲望、貪欲、怒りなど
慢性の不調を患っている人
特に以下の3種類に関しては病気の原因になるので特に気を付けなければならないと言います。
乱雑な食事(samashanam)
健康的な食物と不健康な食物を一緒に食べること不規則な食事(vishamashanam) 過食または不足食を間隔時に及び不適当な季節にとること
(adhyashanam) 前回の食事が胃の中で十分消化されていないのに食事を摂ること
3種類の消化不良とその治療法
【1】粘液性の消化不良 Amajirnam
消化されない食物が甘い味を得る不消化
治療
断食。アーユルヴェーダの断食はその人の体力や状況に応じて、重湯やお粥、フルーツなど最低限の空腹感を満たしながら行います。実施する場合には専門家の指導のもと行います。
【2】Vidagdha
消化されない食べ物が胃の中で酸味を得る不消化
治療
胃の内容物を排出します。塩を濃く溶かした温湯の助けを借りて胃の内容物を吐きださねばならない。 ※ご自身の判断ではなく病院を受診することをおすすめします。
【3】Vishtabdha
胃に摂りいれられた食物が部分的、また不規則に消化され、突くような、刺すような胃の痛みがあり、ガス放出が全く抑圧される不消化
治療
お腹を温めると痛みが和らぎます。湯たんぽやいった塩をガーゼでくるんだものを痛みを感じる部分に当てておくのがよいでしょう。
消化不良なのに食欲があるケース
消化不良がある場合、通常は食欲は落ちますが、食欲が落ちないケースがあります。その理由としてスシュルタサンヒターの中では次のように説明しています。
不消化の状態でも食欲のあることがある。それは灰汁または食物が胃の中に集まり、乱れたドーシャに押されて臓腑の隅に閉じ込められ、熱と局所火の通過を妨げない時に起こる。この代償性食欲はその愚かな犠牲者を中毒の速さで殺してしまう。 スシュルタサンヒター 第1巻総論編 第46章
消化不良に対しては食事制限をして消化不良を解消すべきですが、食欲は強く感じている状態です。この場合は、こんにゃく、きのこ、おからといった低カロリーで食べごたえのあるものを摂るようにして強い食欲をコントロールしていくのが大切です。
まとめ
消化不良を起こさないためには、規則正しい食事を摂っている上で、消化力に見合った量や内容の食事を摂ることが大切です。食べ物がきちんと消化できているかの目安としては、次の食事までに気持ちよくお腹がすくことでわかります。1回の食事量は腹8分(アーユルヴェーダでは、固形のもの1/3,液体1/3,1/3はスペースを残す)のが良いとしています。感情面も消化不良に大いに影響しますので、食事の時にTVやスマホを見るのも控えましょう。
もし既に消化不良がある場合には、消化不良がなくなり、清浄な消化力が立ち上がるまでは、野菜スープやおかゆのようなものを空腹を感じない程度にとって胃腸を休めましょう。消化力が落ちすぎて食欲がわかず、お腹がすかないという人は、飲み物を白湯に変え、食前15分前に生姜のスライスに岩塩を一つまみとレモン汁をかけてとるのがよいです。また手に入るのであればトリファラーを夜寝る前にとるのもよいでしょう。