4つのユガ
ヴェーダの考えではこの宇宙には神様の時間で分類される4つの時代があります。この4つの時代は繰り返され、各時代ごとに神はアバターとしてあらわれます。各ユガの前後には、薄明と薄暮が存在し、その時間はクリタユガでは前後に4百年ずつ、トレーターユガでは前後に3百年、ドヴァーパラユガでは前後に2百年、カリユガでは前後には百年あります。神々の1年は人間の360年に相当し、神々は100年間生きると言われます。4つのユガを合計すると、神々の1万2千年、人間の時間の432万年に相当します。
サティヤ(クリタ)ユガ 黄金時代
最初のユガ 神々時間の4千年間
クリタとはサンスクリット語で”達成されたもの”を意味します。 このサティヤ(クリタ)ユガでは、人類のカーストはただ一つハンサ(聖者)のみです。この時代に生まれる人々は徳しかないため、人生の目的をすべて達成できます。人々は全員が自己を制御して罪からも離れ、完全な主祭神を瞑想します。ゆえに人々は平和で誰にも敵意を持たず、生き物には友好的で、すべての人を平等に眺めます。
この時代ではプナラヴァ(聖音オーム)だけがヴェーダを構成しています。
神は白い肌で4本の腕を持ち、頭では髷を結い、木の皮と鹿皮を衣とします。聖なる紐を飾り、ルドラークシャの数珠と杖、カマンダル(水壺)を手にもっています。人々は神をハンサ(白鳥)、スパルナ(美しき翼をもつもの)、ヴィクンタ(天界の王)、ダルマ(美徳)、ヨーゲーシュワラ(ヨーガの王)、アマラ(穢れなき者)、イーシュワラ(主)、プルシャ(太初の人)、アヴィヤクタ(未顕現)、パラマートマー(最高のアートマン)と呼びます。
トレータユガ 銀の時代
2番目のユガ 神々時間の約3千年間 悪が徐々に広まっていく
人々はヴェーダの祭式と苦行を善く行い、暴力や不道徳にもそれほど陥ることなく、人生の3つの目的を追求してブラーフマナ階級が社会の大半をしめていまs。
トレータユガの時代には3種のヴェーダ、3種の機能、4種のヴァルナ(身分)、4種のアーシュラマ(住期)が生れます。ヴェーダの教師である敬虔な人々は3ヴェーダに基づいて神を礼拝します。
神からは、気息とともに三種のヴェーダ(リグ、サーマ、ヤジュル)が出現します。そしてその中から3つの機能(ホートリ、アドワリュ、ウドギータ)を供えた供犠としてのヴィシュヌが誕生します。
神は赤い肌をし、4本の腕を持ち、腰には3本の紐を巻き(イニシエーションの象徴)、黄色の髪をしています。3ヴェーダに記される供犠にその姿をあらわし、シュルクとシュルヴァー(祭火にギーを注ぐための柄杓)など供犠で使用するものを手に持っています。人々は神を、ヴィシュヌ(遍満するもの)、ヤジュニャ(供犠の主)、プリシュニガルバ(プリシュニの息子)、サルヴァデーヴァ(神の中の神)、ウルクラマ(超越的わざを為すもの)、ヴリシャーカピ(思うものから苦しみを除くもの)、ジャヤンタ(常に勝利するもの)、ウルガーヤ(もっとも名誉あるもの)と呼びます。
神はラーマーヤナ物語の主人公ラーマとして化身
4種のヴァルナ(身分)と義務
4つのヴァルナ(身分)であるブラーフマナ(僧侶、司祭)、クシャトリヤ(戦士、王族)、ヴァイシャ(商人、庶民)、シュードラ(労働者、奴隷)がヴィラートプルシャ(主の宇宙体)の口と腕、腿、足から、各人の義務とともに誕生します。
- ブラーフマナ(僧侶、司祭)の義務は、心の管理、感官の制御、静観、純潔、足ることを知る、忍耐、正直、主宰神への信仰、慈悲、真実を話すことです。
- クシャトリア(戦士、王族)の義務は、威厳、力強さ、堅忍、勇気、武勇、寛大さ、勤勉、堅固さ、ブラーフマナへの信仰、統治することです。
- ヴァイシャ(商人、庶民)の義務は、(聖典と教師の言葉への)信念、布施、誠実さ、ブラーフマナへの奉仕、絶えず蓄財することです。
- シュードラ(労働者、奴隷)の義務は、ブラーフマナと乳牛、神々への奉仕、それらの奉仕で得たものに満足することです。
- 全てのヴァルナに属する聖なる義務は、非暴力、真実、許可されぬものを取らない、無欲、怒らない、貪らない、生き物を喜ばせて、彼らに良きことを為すことです。
カーストなきものは、不浄、虚偽、盗み、神を信じない、理由なく喧嘩をする(議論する)、好色、怒り、貪欲といった性質があります。
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4種アーシュラマ
トレータユガには再生族が生涯を通して通過する4つのアーシュラマ(住期)が生れます。
4つのアーシュラマ(住期)グリハスタ(家長期)はヴィシュヌ神の腰から、ブラフマチャーリー(学生期)は心臓から、ヴァーナプラスタ(林住期)は心臓の下方から、サンニヤーシー(遊行期)は頭頂から出現します。
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ドヴァーパラ・ユガ 銅の時代
3番目のユガ 神々時間の2千年間 悪がさらに増大する
人々は栄光を愛して壮大な祭祀を行い、ヴェーダの学修に喜びを見出します。社会は非常に繁栄し人々は幸福で大家族を養います。社会の階級ではブラーフマナとクシャトリアが大半をしめます。
この時代悟りを得たいと思う人は、ヴェーダやタントラに記されている儀式に則って礼拝します。
神は(麻の花のような)暗青色の肌をされて、黄色の絹の衣を身にまとい、手にはご自身の武器や象徴を持ち、宝石カウストゥバを身に飾って、シュリーヴァッツアなどを持っています。
神は、マハーバーラタ、バガバッドギーターでおなじみのクリシュナ神として化身。クリシュナ神が地上を去ったところからカリユガがスタート
カリユガ 鉄の時代
4番目のユガ 神々時間の1千年 暗黒時代
BC3012年~現在に続いている時代はこのカリユガの時代です。
カリとは戦いをあらわします。人々は欲深く、不道徳、無慈悲となり、原因もなく敵対関係となって不幸です。ヴェーダを学ぶ人は少なくなり、異端の教えが世界に蔓延します。新たな不治の病気が発生して人の命はどんどん短くなります。小さな子供が子供を産むようになり、女性が発言力を増して男性を支配するようになります。シュードラが支配者となり、社会の上に立ち、ブラーフマナが仕えるようになります。このようにカリユガの時代ではすべての物事があべこべとなっていきます。
この時代悟りを得るには、神の御名を唱えたり(キールタン)、神の誉れを歌うなどの供犠によって礼拝します。この時代ではただ神の御名を唱えることで人は完全な平和を手にし、サンサーラ(輪廻転生)もついに終わりを迎えることが約束されています。
神は黒い肌をされて、サファイアのように光り輝き、完全な御身体をされて、様々な装飾品を身に飾り、武器を携えて、従者達に仕えられています。
神はカルキとして化身することになっています。
現代はカリユガの時代ですが、カリユガの時代として描写されている内容があまりにも現代と一致しているので愕然とします・・・人間は生まれた時も死ぬ時も何一つ所有することはできません。裸で生まれ、死に至っては、唯一自分のものと思っている肉体も手放していき、肉体は宇宙の要素となって還っていきます。にもかかわらず日々物質的な欲望を満たすことだけにエネルギーを費やしてしまうことはどうなのかをよく考えなけばいけません。