アーユルヴェーダのオイルトリートメントではごま油が良く出てきます。また食養生の中にもゴマを使ったものがでてきます。
古くから健康効果が言われているゴマですが、改めてゴマにはどんな効果があるのかまとめてみました。
ゴマの抗酸化の秘訣はゴマリグナンにあり
ごまの成分中の約1%は、ゴマリグナンで、セサミン、セサモリン、セサモールとで構成されています。
ゴマリグナンは抗酸化物質で、体をサビつかせ老化の原因となる活性酸素を除去してくれます。リグナンはそもそも女性ホルモンの一種「エストロゲン」とおなじような作用を示すことから、「植物エストロゲン」のひとつとされています。このため女性には特におすすめです!
セサミン
セサミンは、ゴマリグナンの約半分を占めています。ごま油やすりごま、ねりごまなど全てのごま製品に含まれています。セサミンは、体内に吸収され肝臓にたどり着いてからはじめて抗酸化力がフル稼働するという珍しい特徴があります。
これによりコレステロールを低下させる、血圧を下げる、肝臓保護する、アルコール代謝促進する、肝臓がん予防する、乳がん発生抑制する、免疫を高めるなどの作用がと言われています。
http://health.suntory.co.jp/rouka/03/(サントリー研究所)
ゴマサラダ油のエースはセサミノール
セサミノールはごまサラダ油と言われる原料のごまを、焙煎していない白く透明なごま油の中に多く含まれています。抗酸化力が高く、ごま油が他の植物油に比べて長く使うことが出来るのは、この抗酸化物質が油の劣化を防いでいるからだと言われています。
ごま油とコーン油でクルトンを作って酸化の度合いを調べた実験
引用:https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk1962/35/8/35_8_552/_pdf
アーユルヴェーダではごま油を加熱するのはなぜ?
アーユルヴェーダでは焙煎していないごま油を使った薬用オイルが良く使われています。
ごま油は温性で神経を滋養強壮するオイルということで風(ヴァータ)の質を鎮静するオイルとしてアーユルヴェーダでは頻繁に使用されます。例えば頭痛、冷え、肌の乾燥、生理痛、便秘、抜け毛などなど。
この場合、生のゴマから油をとり、薬用化したいハーブの煎じ液と混ぜて加熱し水分を完全に飛ばして薬用オイルを作り使います。
これはごま油が加熱することによって抗酸化力が高まること、また抗酸化物質へ変化する際に一緒に煎じ液をオイルに取り込んで薬用化するのに適していることから大変理にかなっています。
日本で広く紹介されているアーユルヴェーダのオイルケアでも、ごま油は買ってきたらまず加熱して自然に冷ましたものをガラス瓶に入れておき、使う際には湯煎して使うことをすすめています。
ごま油のキュアリングは何度まで加熱すればいいのか
先に述べたように煎じ液と混ぜ合わせて薬用化していく場合には弱火で沸騰しない温度を保ちながら加熱するため大体100度を超えるくらいの温度にあがります。
アーユルヴェーダで実際治療として使う時はプレーンのごま油を使うという事はないのですが、日本でアーユルヴェーダの薬用オイルを手に入れることは難しいこともあり、日本ではプレーンのごま油がよく使われています。
そこでプレーンのごま油であってもアーユルヴェーダの目的でセルフケアに使うのであれば加熱してから使うべきということで100度まで加熱して自然に冷ましたものをガラス瓶に入れておき、使う時は湯煎して使いましょう!というのが一般的でした。
ただし、そもそも日本では完全に生絞りの精製していないごま油は手に入りにく、代用品として使われているゴマサラダ油は、ごま油を作る過程でセサミノールという抗酸化物質が多く生成されることがわかっています。
以下の論文ではセサモリン(抗酸化前駆体)の水分が完全にない状態にして酸性触媒を加え加温させたところ約60度以上でセサミノールが生成されると報告しています。
引用:https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk1962/35/8/35_8_552/_pdf
ということは、市販されているごまサラダ油は抗酸化物質セサミノールを多く含んでいる状態になっているので追加での加熱処理の必要がないのではという気もしてしまいます^^;
では加熱しては問題があるか?というとそうでもなさそうです。
というのも、もともとこのごまサラダ油は高級な日本料理亭などで天ぷらを揚げる時などに使われていて、抗酸化作用が強いことから食べてももたれくい油として知られています。揚げ物をする温度といえば120度を超えるので、この温度でも抗酸化力が高い状態ということでもあります。
今後も色々な研究がなされていくと思いますので、現段階では日本で手に入るごま油サラダ油を加熱処理してオイルケア使うべきかどうかはどちらとも言えないというところだと思います。
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