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南インドマイソールでクリニックを構えるアーユルヴェーダ女医アーシャ先生が女性の健康について解説するシリーズです。
PMS(月経前症候群)とは
PMSとは、月経がはじまる1-2週間前に生じる肉体的、感情的諸症状のことです。その症状は多岐に渡りますが、月経が開始するとおさまります。同じ女性であってもその周期ごとに症状が変化することもあります。PMSは妊娠中または閉経後にはおこりません。
PMSの原因はわかっていません。中には塩分過多の食事、アルコール、カフェインで悪化する場合があります。PMSの機序としてはホルモンバランスが変化することが関係していると考えられています。カルシウム、ビタミンDを摂取することもある程度役立ちます。身体症状に関しては抗炎症薬が効くことがあります。症状がひどい場合にはピル(経口避妊薬)や利尿剤が有効なこともあります。
PMSとドーシャの関係
アーユルヴェーダでは必ずドーシャレベルを考えます。PMSの場合、ヴァータとピッタドーシャが主に関係しています。カファドーシャが関係することも時々あります。このため3つのドーシャすべてが関係してきます。
生まれながらの体質によってもPMSの症状に差があります。アーユルヴェーダではPMSは病気ではなく、特定の人にみられる不調と考えられており、月経開始5-15日前にはじまります。
月経サイクルとドーシャ
PMSについて語る前に女性の月経サイクルにおける優勢なドーシャについてみていきましょう。
月経期 月経開始1 ~ 5日 Vata + Pitta
卵胞期 月経開始6 ~ 15日 Kapha + Pitta
黄体期 月経開始15 ~30日 Vata + Pitta + Kapha
この表を見て分かるのは、月経前の黄体期にはすべてのドーシャが関係しています。この期間に各ドーシャを乱す食生活は以下のとおりです。
ヴァータ体質
ヴァータを乱す食生活(アハラ/ヴィハラ)
パサパサした食事、じゃがいも、さつまいも、かぼちゃ、パンなど
夜更かし、休憩をとらずに長時間仕事をする、ほとんど食事を食べない
ピッタ体質
ピッタを乱す食生活
辛味、酸味、塩分の強い食事、パパイヤ、グリーンチリ、トウガラシなど
炎天下の中の仕事や移動、過度なストレス、ホルモンバランスの乱れ
カファ体質
カファを乱す食生活
消化に負担がかかるもの、脂質が多い食事、揚げ物、食べ過ぎ、ドカ食い
座りっぱなし、運動不足
PMSの原因
PMSはその症状が複雑ゆえに特定の原因はわかっていません。いくつかの説はありますがいずれも証明されていません。
すべてのドーシャが乱れる要因ですが、特にヴァータとピッタが関係しています。
体内に蓄積した毒素が体内のチャンネルをブロックしています。栄養不良、消化力の弱さ、精神的ストレス、家族関係の緊張、カフェイン、アルコール、喫煙などがあげられます。
サンプラプティ(病気の発症機序)
PMSはいくつかの原因が引き金となってヴァータとピッタがバランスを崩すことで発症します。時にはカファドーシャが乱れることもあります。ドーシャが乱れると体内毒素が蓄積し始めます。この毒素がチャンネルをブロックし、体内の循環が適切でなくなり(循環が悪くなり)ます。これにより組織に十分栄養が届かず、免疫が落ちます。免疫が落ちればより病気になりやすくなります。こういった場合にPMSの症状があらわれます。
PMSの症状
PMSの身体的、精神的、感情的不調は月経開始5-15日前にあらわれます。
ヴァータ性
気分のむら、筋肉の緊張、不安、不眠、頭痛、下腹痛、腰痛、胸の痛み
ピッタ性
ニキビ、体の灼熱感、汗がいつもより出る、怒り
カファ性
落ち込み、体重増加、むくみ、胸がはる
アーユルヴェーダ的PMSへの対処法
1-2週間アーユルヴェーダの病院に滞在して体の毒素を取り除く治療。
腰の部分に温めた薬用オイルを保留する療法。腰痛、下腹痛の軽減、骨盤内臓器を支配する神経系の滋養強壮
温めたオイルを生理前に下腹痛にすりこみ、蒸しタオルで温める。下腹痛を軽減する
体質に合わせたオイルで全身のオイルマッサージをする。体全体の滋養強壮、体の痛みの軽減
顔のニキビを減らす。ひよこ豆のパウダーにターメリックをひとつまみ加えたものを水で溶いてペーストにし、ニキビ部分につける。20分ほどおいて洗い流す。
ハーブオイル(加熱処理した太白ごま油など)をコットンに浸し、頭頂部におく湿布法。頭痛、不眠の緩和
不安、落ち込みの緩和
症状別トリートメント
アーモンドオイルまたはクシーラバラーオイルでオイルマッサージを行う
瞑想
アーモンドオイルまたはクシーラバラーオイルでのシローピチュ
クシーラバラーオイルまたは加熱処理した太白ごま油でオイルマッサージを行った後、蒸しタオルで温める
ニームパウダー、サンダルパウダー、ムルタニミッティをローズ水で混ぜて顔全体をパックする。
ホームレメディ
アーモンドとデーツを細かく砕き、ギーでいためる。干しブドウを別で炒めて砂糖を加える。双方を混ぜたものを毎朝空腹時にたべ、コップ1杯のホットミルクを飲む。
PMSに対してすすめられること&避けること
すべきこと、やめることについては、PMSの症状がでる月経前5-15日は特に守りましょう。
すすめられること
PMSにすすめられないこと
アーシャ先生プロフィール
Dr. Asha Vinay Pathange, BAMS., MS(Ayu)
ラジブガンジー大学卒業。アーユルヴェーダ医師。ご主人の仕事の関係で日本に滞在していた際、アーユルヴェーダ女医として多くのカウンセリングやセミナーを行う。現在はマイソールにてサクラアーユルヴェーダクリニックを開業し、臨床医として活躍している。主な治療実績、不妊、PCOD、痔、瘻、乾癬、変形性関節炎、リューマチ性関節炎、アレルギー性鼻炎、皮膚アレルギー、多くの皮膚疾患など。
サクラクリニックでは本格的なアーユルヴェーダ治療パンチャカルマ(浄化療法)が体験できる。
サクラクリニック
Contact: 91-81058-87261
e-mail: ashavinay.pathange@gmail.com
Centre: Sakura Ayurveda Clinic
Address: #512, 1st main, 13th cross, Srirampura 2nd stage, Myrose-23