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南インドマイソールでクリニックを構えるアーユルヴェーダ女医アーシャ先生が女性の健康について解説するシリーズです。
PCOD / PCOS 多嚢胞性卵巣は若い女性の月経不順、過少月経、無月経の原因として最も多く見られ、不妊症の原因になりえます。この多嚢胞性卵巣についてアーユルヴェーダ医師の立場から詳しく説明して頂きました。
アーシャ先生の患者さんの中にも昨年2名PCOSの方がいて、お二人ともご妊娠、1人は先月健康なお子さんを出産され、もう一人も経過順調とのことです。
前半部分はアーユルヴェーダセラピスト・専門家向けの内容です。一般の方は、記事後半この疾患に対するホームレメディを見て頂ければと思います。

はじめに

P – Poly (多い)
C – Cystic (嚢胞)
O – Ovary (卵巣)
D – Diseases / Syndrome (病気/症候群)
PCOD(多嚢胞性卵巣症候群)は、若く生殖可能期間にもかかわらず不妊に悩む女性に広くみられます。症候群とついているのは、様々な背景や臓器が関係して複雑に発症していることがあげられます。
例えば

  • 肥満
  • インシュリン抵抗性
  • 不規則な月経血
  • 月経期間や周期の異常
  • 排卵障害/無排卵
  • 関連する臓器:

  • 卵巣
  • 副腎
  • 膵臓
  • 脳下垂体
  • PCOSの原因

    特定の原因はわかっていません。もしかすると遺伝的な問題があるかもしれません。
    不適切な食事、ライフスタイル、食べ過ぎ、前の食事が未消化な状態で次の食事をとっているなど

    PCOSの病理

    2種類
    1. 卵巣のアーマ(毒素)によるもの
    2. 体内のアーマ(毒素)によるもの

    卵巣の毒素によるケース

    上記にあげた要因により体内に毒素が形成されます。体内毒素は体を巡りながらその人の弱いところを見つけ定着します。このケースでは卵巣(片側ないし両側)にアーマが定着している状態です。卵巣は通常の2-5倍程度に大きくなってしまいます。因みに通常卵巣は楕円形ですが、丸くなってきます。
    Note:ピッタ -ホルモン
    排卵の仕組みについて復習しましょう。脳下垂体よりFSH卵巣刺激ホルモンが分泌され卵巣に働きかけます。卵巣には生まれながらにもっている原子卵胞がありますが、この原子卵胞のいくつかがFSHの刺激により成熟してきます。十分成熟したタイミングで卵巣から卵子が放出され排卵します。
    FSH(ピッタ)が卵巣に働きかけた際、アーマが卵巣に既に存在していたとすると、FSH(ピッタ)は弱まります。FSH(ピッタ)が少なかったせいで原子卵胞は十分に成熟することができず無排卵となります。排卵がなければ妊娠は成立しないので、不妊または十分成熟していない卵子が排卵し妊娠しても流産につながります。

    体内毒素によるケース

    骨盤内にあるアーマはヴァータチャネルを障害します。(ヴァータの主座は腸)ヴァータはあらゆる運搬、流れを担当しているため滞ると、カファ、ピッタ、ヴァータすべてのドーシャが蓄積し始め、すべてのドーシャが乱れます。乱れたドーシャはダートゥ(身体組織)とウパダートゥ(ダートゥの副産物)を汚します。体内を巡るアーマ(毒素)はダートゥに存在するアグニ(ピッタ)を弱めます。これにより身体組織が丈夫に作られず、脂肪組織のみ滋養され、その先で作られる身体組織まで栄養がまわりません。これにより肥満となり、肥満に関連する病気を引き起こします。

    PCODに関係するドーシャとダートゥ

  • ドーシャ: 3つすべてのドーシャ
  • ダートゥ: ラサ(血しょう),ラクタ(血液),メーダ(脂肪)
  • ウパダートゥ: アータヴァ (ラサのウパダートゥ).
  • PCOSの症状

    各ドーシャが乱れている場合に出る症状

    ヴァータドーシャ

  • 月経困難症
  • 下腹部痛
  • 腰痛
  • 月経血が少ない(多い日でもナプキンがいらないくらい)
  • 月経周期が不規則
  • 便秘
  • ピッタドーシャ

  • ホルモンバランスの乱れ
  • ニキビ
  • 抜け毛l
  • 無排卵
  • 代謝が悪くなる
  • 排尿時や手足の灼熱感が時々ある
  • カファドーシャ

  • 体重増加
  • 不妊
  • 糖尿病予備軍
  • 腹部膨満
  • PCOSの治療

    一連の治療

    パンチャカルマ(浄化療法)医師のもと各1~2週間かけて行います。
    ヴァマナ(催吐法):過剰なカファを取り除く
    ヴィレチャナ(瀉下法):過剰なピッタを取り除く
    バスティ(浣腸法):過剰なヴァータを取り除く

    ヴァータを鎮静する

    緩下剤
    滋養強壮
    ホルモンのバランスをとる

    内服薬

  • Chitrakadi vati
  • Varnadi Kashaya
  • Panchakola churna
  • Arogyavardhini vati
  • Triphala
  • Punarnavadi kashaya
  • PCOSに対するホームレメディ

  • アーマパーチャナ(毒素を乾かして排泄しやすくする): 生姜ジュース
    –はちみつ小さじ1
    –すりおろし生姜小さじ2
    –黒こしょう 2つまみ
    –ぬるま湯30ml
    すべて混ぜたものを約5-7日間1日2回食前にとる。

  • 肥満: レモン汁
    –レモン汁小さじ2
    –はちみつ小さじ
    –ぬるま湯 50ml
    すべて混ぜたものを約3-6か月早朝空腹時にとる。

  • 糖尿病: ゴーヤ または フェヌグリーク
    –ゴーヤの種5-6個をつぶして水で混ぜたものを早朝空腹時にとる。
    –フェヌグリークシード小さじ2を200mlの水に一晩浸し、すり潰してから布で濾す。毎朝空腹時にとる。

  • 過少月経:アロエヴェラジュース
    アロエヴェラジュース小さじ2を生理中の約3日間1日3回とる。

  • 月経困難症:
    外用: 約5分間加熱処理したごま油を湯煎(または手で温めて)下腹部及び腰に約5分間ぬる。その後、蒸しタオルで2分温める。月経開始2日前から月経3日目まで行う。
    内服: ヒング(アサフォエリダ)を2つまみバナナにかけて朝食後にとる。月経開始2日前より月経3日目まで続ける。

  • ニキビ:
    外用:ニームパウダー,ムルタニミッティ,チャンダンパウダーを各同量良く混ぜる。ローズ水で混ぜて患部にぬり乾いたら洗い流す。週2回程度。
    内服:トリファラチュルナ10gを寝る前1か月間ほど白湯でとる。

  • 抜け毛:
    外用: ココナッツオイル小さじ2とアロエヴェラの果肉小さじ2を良く混ぜて頭皮にぬり30分おいてから流す。週2回。
    内服: トリファラチュルナ10gを寝る前1か月間ほど白湯でとる。

    過去のPCOS関連記事
    https://ayurveda.jp/pcos

    アーシャ先生プロフィール

    dr.asha
    Dr. Asha Vinay Pathange, BAMS., MS(Ayu)
    ラジブガンジー大学卒業。アーユルヴェーダ医師。ご主人の仕事の関係で日本に滞在していた際、アーユルヴェーダ女医として多くのカウンセリングやセミナーを行う。現在はマイソールにてサクラアーユルヴェーダクリニックを開業し、臨床医として活躍している。主な治療実績、不妊、PCOD、痔、瘻、乾癬、変形性関節炎、リューマチ性関節炎、アレルギー性鼻炎、皮膚アレルギー、多くの皮膚疾患など。
    サクラクリニックでは本格的なアーユルヴェーダ治療パンチャカルマ(浄化療法)が体験できる。

    sakura-Clinic
    サクラクリニック
    Contact: 91-81058-87261
    e-mail: ashavinay.pathange@gmail.com
    Centre: Sakura Ayurveda Clinic
    Address: #512, 1st main, 13th cross, Srirampura 2nd stage, Myrose-23