安産のために知っておきたいオキシトシンのこと
オキシトシンホルモンは昔から陣痛を起こさせる&出産後のママの射乳反射を起こさせるホルモンとして知られてきましたが、現代ではそれ以外にも重要な働きがわかってきています。
オキシトシンを点鼻すると社会適応能力が向上する
男性を対象にオキシトシンを点鼻した研究では以下のような効果が見られました。
また連続投与することにより以下のような精神症状が改善されることもわかってきました。
安産に向けてオキシトシンホルモンを最適に分泌させるには
自然にオキシトシンの分泌を増やすのに効果があるとされているのは以下の4つです。
以上のことから、妊娠中からオキシトシンの濃度が高い妊婦さんが自然分娩をすると、陣痛の痛みも耐えられ、生まれてくる赤ちゃんもママのオキシトシン濃度が高いのと産道をとおる接触刺激からオキシトシンが高い状態で生まれてくるといいます。
さらに出産後のカンガルーケア、ベビーとママ双方のマッサージ、母乳育児、家族から祝福させることなどが加わると母児の愛着形成が強くなり育児がスムーズにすすんでいくと思われます。
興味深いのが、予定帝王切開のケースでは、出産時オキシトシンは分泌されず、無痛分娩で麻酔を使用した場合にもオキシトシンレベルは下がることがわかっています。
また促進剤でオキシトシンを陣痛誘発に使用した場合、生理的な分泌量を超えるほど投与された場合にはフィードバック機構が働き、出産後のママから分泌されるオキシトシンの量は減ることがわかっているそうです。
妊娠がハッピーなものであり、夫婦仲が良くスキンシップがあり、妊婦と赤ちゃんとで10か月かけて育んできた絆こそオキシトシンホルモンであり、これが出産時の痛みや辛さを母子ともに乗り越えるエネルギー源となっているのではないかということです。
そして家族みんなで乗り越えた出産という一大イベントが喜びをもって受け止められることで、継続的に分泌されるオキシトシンがその後の授乳育児と母子関係をスムーズに運ぶためのエッセンスなのではと感じます。
オキシトシンは別名愛情ホルモンと呼ばれていますが、本当にその通りだと思います。
オキシトシンにはアドレナリン拮抗作用があり、アドレナリンが過剰な時には分泌が抑えられることがわかっています。妊娠中や出産時に不安や緊張が強いと十分オキシトシンが作用しません。
この愛情ホルモンが例えお薬で点鼻できるようになったからといって、それは自らあふれ出てきたオキシトシンとは同じように作用しません。
痛いのが嫌だからという理由で無痛分娩や帝王切開が希望で選択されたり、お仕事が大変だからといった理由で母乳育児を希望しないという声も聞かれる時代です。
しかしそれらの希望を通すことで赤ちゃんとママが本来得られるはずのオキシトシンの恩恵についてもきちんと伝えて、産み育てる力を応援していきたいなと思います。