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原子卵胞(卵子のもと)は胎児の時が一番多い

女性の卵子は、お母さんからその原型をもらってきます。お母さんが妊娠して女の子が誕生した時、その子は既に100万個ほど原始卵胞をもってうまれてきます。

原子卵胞は誕生した瞬間が一番多く、その後は成長とともに数が減り、15才では30万個、35才では2.5万個ほどに減ってしまいます。

数 もそうですが 質 も年齢とともに低下します。

生理が毎月順調にあるのに妊娠しないのはなぜですか?という40代の方は、卵子の質の問題が大いに関係しています。

買ってきたニワトリの卵もそうですよね、買って来た時が一番新鮮で日を追うごとに鮮度は落ちてしまいます。

女性にとって卵子の質&量ともに妊娠に一番適している年齢は20代です。自然に妊娠しやすい年齢を過ぎて子どもを作りたいと考えるなら1日も早く行動を開始した方がいいということになります。

35歳以降は卵子の老化が急激にすすみます、40代に至っては子どもを授かったら奇跡・ラッキーだというように考え方を切り替える必要があるように思います。

男性の生殖能力は加齢の影響を受けにくい

女性が卵胞という 卵 の状態でもっているのにたいして、男性の精子はいわば 種 の状態です。

太古の植物の種が残っていて現代に甦ったという話を聞きますが、恐竜の卵が見つかったとして現代に恐竜を甦らせることはできません。

男性の精子(種)は女性の卵子(卵)に比べて加齢の影響が緩やかです。

50歳くらいまでは男性の生殖能力は落ちないと言われています。

中には70才でパパになる男性もいますが、70才でママになる女性はいません。

また男性は自身で精子を作っているので、常に新しい状態の精子が作られている点でも女性と異なっています。

定期的に射精がある方が精子の質もよく、将来的なに前立腺の病気になるリスクが減るという報告もあります。

女性の排卵に関する常識の非常識

女性は思春期になると女性ホルモンの影響で卵巣内の原子卵胞のいくつかが毎月成熟し、そのうちの1つが左右どちらかの卵巣から排卵します。


排卵に至る卵胞は主席卵胞と呼ばれますが、主席と言いながら主席(最も優秀)とは限らないことがわかってきました(笑)

排卵するのは基本的に最も成熟した1つと思われていますが、たった1つだけが育つわけではありません。複数の卵胞が成熟し、最終的に1つだけが残って排卵にまで至ります。卵子は卵胞の中に1つずつ入っていています。

卵胞は内側から女性ホルモンを作りながら成熟し、最終的に排卵のタイミングで最も大きく育った1つから排卵します。

しかし、その成熟卵胞の中の卵子が、他の卵胞に入っていた卵子より優れているとは限りません。

最後まで残ったのが一番いいという考えは間違えということになります。

これは生殖補助技術の進歩により、体外受精で卵巣から直接採卵することが可能になってわかってきたことです。

質のいい卵子の方がその後の 受精→妊娠→出産 まで至る可能性が当然高くなります。

体外受精では、大抵の場合 排卵誘発剤やお薬を使ってできるだけ多くの卵胞を育て、排卵直前で可能性がある卵胞を複数採取します。その中には自然周期で排卵するよりも質のよい卵子がある可能性があるということです。

加齢による問題(35才以上)で卵子の質・数ともに低下している場合には、自然にタイミングをとり続けるより、スップアップして体外受精を試みたほうが、妊娠する可能性が高くなるのはうなずけます。

体外受精と聞いただけで、”そこまでして妊娠したくない””自然じゃなくて不安”という方がいます。

これは価値観の違いもあるとは思いますが、体外受精で出来るのは、あくまでチャンスを増やすことだけです。体外受精で妊娠に至り、出産まで無事に到達できたのであれば、それはその卵子と精子に充分な生命力があったからにほかなりません。

まずはご夫婦で勉強し、納得いくまで話し合って決めて頂くのが良いと思います。

すんなり妊娠・出産された方が良かれと思ってしているアドバイスが間違っていて、不妊治療に取り組んでいる夫婦を追い込むこともあります。

赤ちゃんは誰にとっても天からの授かりものです。こうしたから必ず赤ちゃんに出会えるということはありません。
アドバイスされる際も、そのことを心にとめておいて欲しいなと思います。