アーユルヴェーダの古典チャラカ・サンヒターの中では、アーユルヴェーダについて次のように書かれています。
アーユルヴェーダとは、有益な人生・無益な人生、幸福な人生・不幸な人生、人生にとって有益なこと・人生にとって無益なこと、人生の長さ・人生そのものについて説かれているもののことをいう。チャラカ・サンヒター第1巻第1章41
では、ここでいう【有益な人生】と【無益な人生】とはどういう意味でしょうか。 それについてもチャラカ・サンヒターの中には書かれています。
有益か否かの基準 次のような生き方は有益である。生きとし生けるものに好意をよせる。他人の所有物を取ることは慎む。真実を話す。平穏である。状況を察してから方策を講じる。不注意ではない。人生の壇題目的(ダルマ(徳)、アルタ(実利)、カーマ(快楽))をお互いに矛盾しないように追求する。尊敬すべき人を敬う。学識と専門的知識と、心の平穏に専念する。高齢者との交流を保つ。愛着、嫌悪、嫉妬、酩酊、高慢という情動を抑える。さまざまな慈善活動を行う。常に苦行と学識と平穏に専念する。根源的真理(アディアートマ)の知識をもち、それに専念する。現世と来世の両方を気遣う。記憶力と理解力に恵まれている。以上の事に反対の生き方は有益ではない人生である。チャラカサンヒター第1巻第30章24
深いですよね。特にこの肉体の現世だけでなく、肉体の死をもって現世での学びを終え、次どのような人生をおくるのかという来世のことまで気遣うように言っているところが面白いことです。
アーユルヴェーダでは、すべての行い(考えたことも含む)はカルマといって、蓄積されていくとしています。これは肉体の死をもっても消えることはなく、次の人生に持ち越します。ですから今世はもうどうしようもない人生だったから、死をもってリセット というわけにはいかないのです。
日々良いカルマを少しでも積み上げ、悪いカルマ、つまり悪い考えが浮かんだ時点で心をクリーニングして、悪いカルマを積み上げないようにすることが大事になります。
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