〇〇が健康にいいと聞くとついついそればかり摂ってしまいがちです。

しかし同じものばかり摂っていることで、栄養のバランスを崩したり、良いと言われているものでも自分の体質や消化力に見合っていないものであれば、体調を悪くしてしまうこともあります。

アーユルヴェーダの古典チャラカサンヒターの中には、”常食すべきもの””常食すべきでないもの”について書かれています。

常食すべきでないもの

干した肉、レンコン、豚肉、牛肉、魚、ヨーグルト チャラカサンヒター第1巻第5章⒑-11

常食すべきでないからと言って食べてはいけないという意味ではありません。アーユルヴェーダでは、使い方、摂り方次第でどんなものも薬になるとしています。

激しい毒物でも、用い方によっては最良の薬物となることがある。逆に薬物であっても、誤って用いると、激しい毒物に転じる。したがって、長寿と無病を願う賢明な人は、道理をわきまえない医者によって処方された薬物を、決して受け取ってはならない。チャラカサンヒター第1巻第1章126-127

また、身土不二の理論から、その土地の人にとっては食べなれていることで害を及ぼさないものもあります。もちろんこの反対もしかりで、たとえ良いと言われているものでも食べなれていないもの、その土地でとれないものであれば慎重に摂取した方がいいこともあります。

たとえふさわしくなくとも、常に行っていて慣れていて身体に害を与えなければ、それは「オーカサートミヤ(慣れた)」と呼ばれる。適応性というものを知る人々は、土地や病気の特徴に関して反対の性質をもった行動や食物が、適応することを求める。チャラカサンヒター第1巻第6章50

常食すべきもの

健康を促進するもの、および未病を発病させないようなものを常食すべきである チャラカサンヒター第1巻第5章13

とした上で、具体的には次の食材をあげています。

岩塩、アムラ、大麦、雨水、乳、ギー、乾燥した土地に住む動物の肉、ハチミツ チャラカサンヒター第1巻第5章⒓

岩塩

日本ではあんまり岩塩になじみがないですが、アーユルヴェーダでは塩の中では岩塩を一番すすめています。

岩塩(サインダヴァ塩)は最上の塩である。食欲増進、消化力増進、強精、視力向上、灼熱感を起こさない、トリドーシャの鎮静、軽度甘味の性質がある。チャラカサンヒター第1巻第27章300

はちみつ

はちみつについては次のような働きがあるとしています。

乾性、制吐、下痢止め、去痰作用がある。チャラカサンヒター第1巻第27章241-242 ハチミツの中ではマークシカハチミツ(花蜂から採取した蜜)が最も良質で油のような色。 ハチミツはヴァータを増悪させ、重性、冷性で、血液疾患、ピッタ性疾患、カファ性疾患を鎮静する、また創傷治癒、去痰、乾性、甘味の性質がある。チャラカサンヒター第1巻第27章247-249

アーユルヴェーダで紹介している蜂蜜は基本的に非加熱のはちみつになります。というのも、アーユルヴェーダでははちみつは加熱すると毒になるとしています。古典の中には何度という記載はありませんが、常温以上にはしないのがよいというのが師匠であるDR.Partapの見解です。この辺りは今後化学的な検証を待ちたいところですが、一つには最近言われている糖化の問題とはちみつの加熱の問題が関係しているという報告もあります。

はちみつを熱してから食べたり、熱に冒された人が蜂蜜を食べると毒が生じ、命とりとなる。重性、乾性、渋味、冷性という性質があるのではちみつは少量摂取するのが有益である。チャラカサンヒター243-246 ハチミツ摂取に起因するアーマ(マドゥアーマ)ほど重篤なものはない。相反する治療によって、中毒死のように即死させてしまう。アーマ病(消化不良)では通常は温熱療法を処方するが、はちみつによるアーマ病の場合はこれが対立する療法となり、毒に冒されたように即死する。はちみつは種々の物質に由来するので、もっとも優秀な作用相乗剤(ヨーガヴァーヒン)である。チャラカサンヒター第1巻第27章247-249

雨水

アーユルヴェーダでは水の中では雨水が一番有益としています。しかし現代は大気汚染の問題があるので、雨水をそのまま飲むというのは住んでいる環境によってはすすめられません。もし環境がいいのであれば消化力が低下している人に沸騰した雨水をさましたものをとるのがいいと言われています。

消化の火を保護しようとする者(アグニが低下している人)は、古い大麦・古米を乾燥地生息動物の肉や豆類のスープとともに食べるのがよい。…沸騰させてから冷却した雨水・井戸水・池水を飲むがよい。ガルナシャ・ウドヴァルタナ・沐浴を常に行い、香料・花飾りを身に着け、軽く清潔な衣服を着て、湿気のない場所の雨季用の住居にすむがよい。チャラカサンヒター第1巻第6章33-40