このところ勤務先の産婦人科でデリケートゾーンや膣が痛いという50代のご婦人がお二人いました。実は日々の診療の中でこういった悩みで受診される方は少なくありません。婦人科を受診するのはハードルが高い上に、デリケートゾーンの痛み、痒みといった問題となると辛いながらもますます病院に足を運ぶのは勇気がいることだと思います。
気になるけど気軽に聞けないデリケートゾーンの良くある悩みと対処法についてまとめてみました。
デリケートゾーンのかゆみの代表的な病気と治療法
カンジダ菌
かゆみの代表的なケースは、カンジダ菌がはびこっている。カンジダ菌が増えるとヨーグルトのような白いポロポロした帯下が増えてかゆみと炎症による痛みが代表的な症状です。抗真菌薬の膣錠・軟膏で治療します。
免疫力が下がっていると出やすいので体をやすめるようにします。
また夜遅い食事、甘いものの摂り過ぎ、消化不良も関係するので気を付けます。
コンジローマ
コンジローマはHPVウィルスという性感染症のひとつです。小さないいぼのようなものが会陰部~肛門周り、子宮頚部などにでます。場合によっては痒みを引き起こすことがあります。コンジローマはかかると治りにくく、気になる方3>がおおいようです。ベセルナ軟膏という塗り薬で治療することが多いです。
デリケートゾーン・膣が痛い
ヘルペス
性交渉でうつる性感染症のひとつです。初感染の時は高熱が出て外陰部に潰瘍ができかなり痛みを伴います。一度感染するとウィルスが完全にいなくなることはないので、免疫が落ちた時に再発することがあります。抗ウィルス薬の軟膏と内服で治療します。
ナプキンかぶれ
もともとアトピー肌の方など肌が弱い方が生理中のナプキンにかぶれるケースがあります。ショーツのゴムのラインに吹き出物が出る方も似たケースです。外陰部を石鹸であらったり、洗う際お湯を使うと膣の常在菌や必要な皮脂まで洗い流してしまい症状をあっかさせることがあります。外陰部はぬるま湯で優しく流す程度にし、生理でない時に後で紹介するオイルピチュをして保湿すると良いでしょう。また生理以外の時期に帯下シートをつけているとその化学繊維が刺激となっているケースもあります。布ナプキンにする、ナプキンや帯下シートを充てるのを必要最低限にする、ショーツはなるべく自然素材のものにするなどすると良いです。
バルトリンセンが腫れてる
バルトリン腺は性交渉をスげこすと痛みを引き起こします。治療法としては中に溜まった膿を針でさして排膿し、抗生物質を内服します。
閉経後の膣の乾燥
閉経後は女性ホルモンの分泌低下により膣粘液が減少し、膣が乾燥することで違和感や痛み、茶色い帯下がでることがあります。症状は主に性交渉の際に感じることが多いようです。このケースでは女性ホルモンの膣錠を入れることで膣粘膜を若返らせる治療をします。
精神的なストレスからデリケートゾーンの痛みが出ている?ケース
先に述べたのがデリケートゾーンに関するよくある病気と治療法なのですが、いずれにも該当しない、つまり見た目上問題が無く、細菌の検査などをしても全く問題がないのに本人には症状があるというケースがあります。
実は冒頭に紹介した50代の患者さん2人のケースはそれに該当していました。見た目には腫れ物もなくて痛みの原因となるようなものは見当たりませんでした。
しかし、患者さんは日常生活もままなならないほど辛いというのです・・・
お1人に至っては、手で触れてわかるほどのポリープがある!とおっしゃるので診察してみると、クリトリス(陰核)だったりして(汗;)
現代医学的には何も問題がみつからないので、気休めにステロイド軟膏を処方したりして終わりになってしまったのですが、問題は心の方にありそうです。
お話を聞いていると患者さんはお二人とも親の介護や身内の方の死であったりと、精神的にショックなことがあったり、更年期でホルモンバランスが崩れていることもあるので、まずは心を癒してあげることが大事なように感じました。
デリケートゾーンを若々しく保つホームレメディ
原因不明のデリケートゾーンの痛みや出産を控えている妊婦さん、性交渉の時痛みがある方、デリケートゾーンを若々しく保ちたい方におすすめしたいのが、ごま油のピチュ(湿布法)です。
ごま油には抗酸化作用(若返り)成分があること、またオイルが皮膚を潤わせてリラックスさせ、痛みを和らげる効果があります。
ごま油を加熱処理する
ごま油は加熱することで抗酸化成分が増え、より酸化しにくい安定したオイルになります。
生絞りのごま油買ってきて鍋に入れ弱火で100度まで加熱します。
火を止めて自然に冷まします。
ガラス瓶に戻して保存します。
オイルピチュのやり方
加熱処理したごま油をお風呂に入る前に湯煎します。
お風呂から出たら温まったごま油を大きめなコットンにヒタヒタにつけて、デリケートゾーンにあてます。
オイルがショーツにしみないようにその上からナプキンをあてます。
横になり15分程浸透させます。
または、次トイレに行く際にはずしてもいいですし、寝る前であれば朝まであてていても大丈夫です。
この方法は、産後の傷にも効果的なのですが、痛みがやわらぐことで頭痛や後陣痛も和らぐという声が多いです。
是非お試しください。