アーユルヴェーダの古典チャラカサンヒターには、〇〇を守れば、
百年にわたって無病のまま、寿命を失わない。
また善人たちによって讃えられ、
名声によって人の世を満たし、
法と財を得て、
一切衆生の縁者になる
チャラカサンヒター第1巻第8章31-32
と約束しています。
では〇〇とは何か?というと、食事をとる時の環境や心持から、座る椅子の方さから、性交渉のこと、入浴に関して、夜に食べてはいけないものなどなど115項目にわたって記しています^^
面白いところでは、
・鼻をほじくってはいけない(爪で鼻粘膜を傷つける可能性があるから)
・草をひきちぎってはいけない(毒虫がひそんでいるかもしれないから)
・土のかたまりを押しつぶしてはいけない(中に何か入っているかもしれないし、生き物を殺してしまうかもしれない)
・好意をもっていない人が用意した食べ物を食べてはいけない。(作った人の思いも食事に影響するから)
・女性に秘密をあかしてはいけない(女性は秘密をだまっていられないから)
などなど。
アーユルヴェーダは無理という方に一番多い理由もこのやってはいけないことが多すぎる!な気がします。
きっとそう思われる方は至極まじめで、100%できないならやらない方がいいと思われるのかもしれません。
ではインド人のアーユルヴェーダの先生は100%守っているのか?というとそういうわけでもありません。
インド人は(すべてとはいいませんが)一般的に遅刻して来ても相手のせいにして当たり前というくらい自分にはあまく他人に厳しいところがあります。
ヨガの素晴らしい先生であっても、ヨガをおしえている最中に携帯のメールを見ていたり、しまいにはヨガをしている生徒の写真を撮り始める人もいました(笑)
もちろん、真剣に取り組むにこしたことはありませんが、100%できなかったらやる意味がないとしてしまうにはもったいなさすぎます。
アーユルヴェーダでは肉体は神様が宿っている神殿だと考えています。一人一人に神殿があり、その神殿をキレイにしておけるのは本人だけです。
そして神様に供物をささげ火を捧げるように、日々のお食事は肉体という神殿に食べ物を捧げ、火をくべている(消化)のだといいます。
日本人は自分に厳しく自分を責めて苦しんでいる人が多いような気がします。それは自分の中の神様を大切にしていないということでもあります。人にやさしくするのがいいことなように、自分にも優しく、自分を大切にしてくださいね。
正しい行い
- 神々、牡牛、バラモン、師、年長者、熟達者、指導者を尊敬すべきである。
- 火を崇拝すべきである。
- 優れた薬草を身につけるべきである。
- 洗い清めをして1日に2回瞑想や祈りをすべきである。
- 排泄口と両足を常に清潔にすべきである。
- 15日3回、頭髪を切り、ひげをそり、爪を着るべきである。
- 常に清潔な衣服を着て、心穏やかにし、芳香を身につけ、身なりをよくし、髪の手入れをする。
- 頭、耳、鼻、足に常に油を使い、(薬用)喫煙をし、相手より先に話しかけ、笑顔を絶やさず、困っている人を助け、ホーマ(護摩供養)を行い、祭式を行い、布施をし、四辻で礼拝し、供物をささげ、客をもてなし、先祖にピンダ(米の団子)を供え、時機に応じて有益なことを簡潔にやさしく語り、自我を制御し、道徳と正義を守り、原因をうらやみ結果をうらまず、思いわずらわず、恐れを持たず、恥を知り、思慮を持ち、情熱をもち、手先が器用で(訓練してできること)、忍耐強く、道徳と正義に従った行いにつとめ、信仰をもち、謙虚さ・知力・学力・生まれ・年齢これらの点で目上の人、熟練者、指導者に仕え、傘をもち、杖をつき、帽子をかぶり、靴をはき、背丈ほどの先を見て歩く。
- 吉兆な態度と習慣をもち、ぼろきれ・骨・いばら・汚れ物・毛・もみ殻・ごみ・肺・どくろや割れた器・沐浴といけにえの場所をさけなければならない。
- 疲れる前に運動をやめ、いっさいの生物に対して血縁者のような気持ちをもち、怒った人をなだめ、怖れている人を元気づけ、貧しい人を助け、誠実で、平和的な解決を望み、他人のきつい言葉(受け入れがたい)に耐え、激情をおさけ、愛着と憎しみの原因をさけ、平静の徳を面に表している、そのような人であるべきである。第1巻第8章18
- 嘘をついてはいけない。他人の所有物を奪ってはいけない。他人の妻や他人の財産を欲しがってはいけない。敵意を抱いてはいけない。罪を犯してはいけない。罪人に対してさえも罪を犯してはいけない。他人の欠点を公言してはいけない。他人の秘密を暴露してはいけない。正義を行わない人・王に嫌われた人・狂った人・堕落した人・堕胎者(母の救命のためなどやむを得ない場合を除く)・下劣な人と一緒にいてはいけない。
- 欠陥のある乗り物に乗ってはいけない。
- 膝の高さの固い腰かけに座ってはいけない。
- よく敷きのべられていない寝床・枕がなく・狭く・平らでない寝床に寝てはいけない。
- 起伏の多い山道を歩きまわってはいけない。木に登ってはいけない。水の流れの激しい川につかってはいけない(危ないから)
- 血縁者や高貴な人の影を踏んではいけない。
- 火の燃え盛っている危険な場所に近寄ってはいけない。
- 大声で笑ってはいけない(笑えない状況にある人をいらだたせるから)
- 音立てて放屁をしてはいけない。
- 口を覆わないで、あくび・くしゃみ・笑いを発してはいけない。(道徳の問題と虫がはいるかもしれないから)
- 鼻をほじくってはいけない。(爪で鼻の粘膜をきずつけるから)
- 歯ぎしりをしてはいけない。
- 爪を鳴らしてはいけない。
- 骨をたたいてはいけない。
- 地面をこすってはいけない。
- 草をひきちぎってはいけない。(毒をもった虫がいるかもしれない)
- 土の塊を押しつぶしてはいけない。(中に何か入っているかもしれないし、生物を殺してしまうかもしれないから)
- 身体を異常な形で動かしてはいけない。
- 天体・不快なもの・不浄なもの・不吉なものを直視してはいけない。
- 死体に向かった「フム(ン)」と言ってはいけない。
- 神木・旗・師・崇拝すべき人・不潔な人の影を横切ってはいけない。
- 夜に神殿・神木・広場・四辻・公園・火葬場・墓地・屠殺場に近づいてはいけない。
- 1人で廃屋や森の中に入ってはいけない。(誰も入ったことを知らないと助けられない)
- 行いの悪い女性や友人、召使と関わってはいけない。
- よい人々に反抗してはいけない。
- 悪い人々と交わってはいけない。
- 悪い企みを好んではいけない。
- 高貴(諸悪から遠く離れている人、見知らぬ人に寛大である人)でない人と関わりをもってはいけない。
- 恐怖を与えてはいけない。
- 冒険・睡眠・夜更かし・沐浴・飲食を過度にしてはいけない。
- 膝を上にして長い時間座ってはいけない。(腰を痛める)
- 凶暴で角・牙・毒をもつ動物に近寄ってはいけない。
- 向かい風(ヴァータが増えて老化がはやまる)・日光・露・暴風を避けなければならない。
- 自分から喧嘩を始めてはいけない。
- 十分な注意を払わずに食後の洗い清めをしないで不浄なまま火に近づいてはいけない。
- 火を足元において体を温めてはいけない。
- 裸で、疲れがとれないうちに、顔をはじめに洗わないまま、沐浴をしてはいけない。
- 沐浴中にきていた(既に不浄なので)もので頭を触ってはいけない。
- 毛髪の先端をたたいてはいけない。
- 沐浴の後に、来ていた衣服を再び身につけてはいけない。
- 宝石・ギー・尊敬すべきもの・吉兆なもの・花に触れることなしに外出してはいけない。(気持ちよく外出するために)
- 尊敬すべきものや、吉兆なものを左側にして進んではいけない。また不吉なものを右側にして進んではいけない。第1巻第8章19
- 手に宝石を飾らずに、沐浴せずに、破れた衣服のまま、マントラを唱えずに、神への供物も捧げないで、先祖に供物をささげないで、師・客・扶養されるべき人に食べ物も与えずに、聖なる芳香もつけずに、花輪もつけずに、清めずに、手・足・顔を洗わずに、口を清めないで、北に顔を向けて、うわのそらで、不忠実な人・態度の悪い人・不浄な人・空腹な人をまわりにおいて、不潔な食器で、不適当な場所で、不適当な時間に、混雑の中で、最初に火神に供物をささげずに、水で食べ物を清めずに、マントラをとなえることによって清めずに、食べ物に文句をつけながら、食事をしてはいけない。
- 汚い食べ物を、好意をもっていない人が用意した食べ物を食べてはいけない。肉・根菜類・乾燥した野菜・果物・菓子、これらのもの以外は古くなったものを食べてはいけない。(敬虔なバラモンは日をまたいだら食べない、タマスが増えるから)
- ヨーグルト・蜂蜜・塩・炒ってある穀粒・ギー、これらのもの以外は食べつくしてはいけない。(残して他のお腹がすいている生命、サドゥにあげる)
- ヨーグルトを夜間にたべてはいけない、それを食べ過ぎてもいけない。
- 炒った穀粒を1日2回食べたり、間に水を飲んだり、歯でかみしめてもいけない。第1巻第8章20
- 身体を曲げて、くしゃみをしたり、食事や睡眠をとってはいけない。
- 生理的欲求の起こった時に他の行為をしてはいけない。
- 風・火・水・月・太陽・バラモン。師に向かって、唾を吐いたり、排便・排尿してはいけない。
- 道路に放尿してはいけない。
- 混雑している場所で食事をとってはいけない。
- 食事をとっている最中に放尿してはいけない。
- マントラを唱えたり、ホーマ(護摩供養)していたり、学習をしていたり、供物を供えたりというという宗教的な吉祥の行為の最中に、痰を吐いたり鼻をかんではいけない。
- 女性を侮辱してはいけない。女性を信頼し過ぎてはいけない。女性に秘密を明かしてはいけない。女性に権力を持たせてはいけない。月経中の女性、病気の女性、不潔な女性、不吉な女性、不快な容貌・習慣・行動をもった女性、不器用な女性、無愛想な女性、性欲を感じていない女性、他の男を愛している女性、他人の妻、種族の異なる女性、女性器以外の部分で性交してはいけない。
- 神木のある場所で、広場で、四辻で、講演で、火葬場で、屠殺場で、貯水池で、薬草のある場所で、バラモンの家や師の家で、神殿で、夜明け時や、たそがれ時に、凶日に性交をしてはいけない。
- 不潔な状態で、強精剤を用いないで、性交しようという強い欲求を持たないまま、勃起のないとき、食事をしていないか、または食べ過ぎた時、平らでない場所で、排尿の衝動を感じているとき、疲労・運動・断食・消耗しているときは性交してはいけない。
- 囲いのない場所で性交してはいけない。第1巻第8章22
- 高貴な人や師を侮辱してはいけない。不浄なままでジャパ(読誦)したり、神木のある場所で礼拝・尊敬すべき人の礼拝・学習を行ってはいけない。
- 季節はずれの電光が起こるとき、四方が激しく燃えているように見えるとき、火事のとき、地震のとき、祭が行われているとき、流星が落ちているとき、大きな日食や月食が起こっているとき、新月の日、夜明けどき、たそがれどきに学習してはいけない。
- 師のないまま学習してはいけない。
- 不完全な発音で、高い声で、かすれた声で、正しい発音ではなくて、歯切れ悪く、早すぎたり、遅すぎたり、ひどく間を置いて、高すぎたり低すぎたりする声で学習してはいけない。(サンスクリット語のシュローカを復唱して学んでいたから)第1巻第8章24
- 多数の人々が同意していること無視(時間を無駄に)してはいけない。
(良いことだと思われることはいちいち逆らわずに認める) - 禁令を破ってはいけない。
- 夜間に邪悪な場所をうろついてはいけない。
- 夜明けと黄昏時(ラジャスタマスが増えて精神的に不安定な時間で考えや体の動きが鈍くなる時間)に食事・学習・性交・睡眠をしてはいけない。
- 子ども・老人・貪欲な人・愚か者・悩んでいる人・去勢者と交友関係をもってはいけない。(子どもは教育し育てる対象)
- 酒・賭博・娼婦に溺れ楽しんではいけない。
- 秘密を暴露してはいけない。
- なにびとをも侮辱してはいけない。
- 思い上がってはいけない。
- 不器用であってはいけない(訓練してできるようにする)
- 無愛想であってはいけない。
- 嫉んではいけない。
- バラモンを侮辱してはいけない。
- 雌牛を棒で打ってはいけない。
- 老人・師・人々の集団・王を嘲弄してはいけない。
- しゃべりすぎてはいけない。
- 親戚・自分についてくる人・逆境の時に助けてくれた人・秘密を知っている人を疎外してはいけない。第1巻第8章25
- 短気であってはいけない。
- あまりはしゃぎ過ぎてはいけない。
- 召使(部下、子どもだと自分の下だと思う人)にも気を配らなくてはいけない。
- 自分の身内を信頼しなければならない。
- 1人で幸せになってはいけない。
- 不愉快な習慣(他人にとって、一般的に)をもったり、行為をしてはいけない。
- だれかれとなく信頼してもいけない。
- 全ての人を疑うようになってもいけない。
- 四六時中細心であってはならない。第1巻第8章26
- なすべき時期を逸してはいけない。
- よく確かめないでとりかかってはいけない。
- 感覚器官の要求のままに従ってはいけない。(欲望に支配されていると正しい判断ができないときがある)
- 心を動揺させてはいけない。
- 知性や感覚器官に負担をかけ過ぎてはいけない。
- ぐずぐずしてはいけない。
- 怒りや喜びの感情にとらわれて行動してはいけない。
- 悲しみに浸ってはいけない。
- 成功に酔ったり、失敗に落胆してはいけない。(ソウルレベルから見ればあくまで表面的なこと)
- 常に自分の本質をよく覚えておかなくてはいけない。
- 原因と結果の関係を確信して、常によい結果をもたらす因に着手すべきである。
- 完璧にやったと決めてかかってはいけない。(特に治療行為においては)
- 勇気を失ってはいけない。
- 中傷を気にしてはいけない。第1巻第8章27
- 神の恩恵を望む人は、ギー・完全な米・ごま・クシャ草・辛子を不浄なままで火に捧げてはならない。
「火が私の身体から離れませんように
風が私のプラーナを支えてくださいますように
ヴィシュヌが私に力を与えてくださいますように
インドラが私に活力を与えてくださいますように
吉祥なる水が私の中に入ってくださいますように」
というマントラを唱えて、
「アーポーヒシュター」というマントラも唱えながら水に触れるがよい。(沐浴) - 1日に2回、唇と両足を洗った後で、頭部にあるすべての穴と身体と胸部と頭とで水に触れるがよい。第1巻第8章28
- 禁欲、知識、布施、友情、慈悲、喜び、離欲、平安のために自らを心がけよ。第1巻第8章29
その上で極めつけの1行
アートレーヤはここに述べられていないことでも、人に尊敬される行為であればよいと認めるであろう。第1巻第8章34
確かにあますところなく記載されています^^