インド・ネパールでヨーガ、アーユルヴェーダブーム

アーユルヴェーダ医学は5000年前から現代に伝わる伝統医学ですが、本家大元のインド、ネパール、スリランカでも現代は西洋医学が主流です。私がアーユルヴェーダと出会った15年程前は特にそれが顕著で、インド人に”アーユルヴェーダをやっている”というと、まるで日本に来た外国人が”忍術を習いに来た”と言わんばかりのリアクションでした。

しかし近年スーパーカリスマヨギーであるラームデーヴ(1965~)の影響で、急速にアーユルヴェーダやヨーガが見直されています。ラームデーヴ師を一躍有名にしたのが、2003年に始まった朝のTV番組。このTV番組を通じて師はヨーガやアーユルヴェーダ的な生活を送ることを啓蒙し続け、今やインド国内に2億人以上と言われるほど多くの支持者がいわれています。

肌身で感じるところでは、師匠のアーユルヴェーダクリニックの前の公園も10年前には朝誰もいなかったのが、最近では朝多くの人が呼吸法やヨーガを行ったり、早歩きをしたりしています。

また10年来ネパールに住んでいるという生徒さんも、ラームデーヴ人気でネパールの人は以前より白湯をのんだり、ちょっとした不調には街中のアーユルヴェーダ薬局で対応するようになったと言います。

ラームデーヴ師の影響は経済にもおよび、2006年には「Patanjali」というブランドでオーガニックな化粧品、食品、アーユルヴェーダ用の薬、サプリメント、薬を販売しこちらも大人気になっています。

実は、私の恩師であるジヴァ・アーユルヴェーダ・インスティテュートのアーユルヴェーダ医師パルタップ・チョハン先生もTVの健康番組で大ブレークし、今は視聴者は1億人を超え、インド国内に50か所のアーユルヴェーダクリニックを展開しています。

参考記事 ヨーガ人口の急伸 抵抗運動と反権力で接点 東北大大学院教授 山下博司 2014年8月27日付 中外日報 http://www.chugainippoh.co.jp/rensai/sekai/20140827.html

ヨガ指導者が立ち上げた消費財ブランド「Patanjali」/専用アプリで全商品購入可能&Made in Indiaで支持拡大中 2017年3月23日 http://www.tnc-trend.jp/india12/

インドでは1995年に政府がインド医学とホメオパシー部門(ISM&H)を設置し、2003年にAYUSH部門に名前を変更しました。2014年厚生労働省の管轄下だったAYUSH省に大臣を設置し、アーユルヴェーダ、ヨーガ、ナチュロパシー、ユナニ、シッダ、ホメオパシーの国内教育レベルを高めたり、疾患毎に最も有効な治療法を研究、薬用植物の栽培・再生・スキーム策定、医学的基準の策定などを促進しています。2015年には国際ヨーガデーを2016年にはアーユルヴェーダデーを制定しヨーガやアーユルヴェーダを世界に発信しています。

参考記事:http://ayush.gov.in/

スリランカアーユルヴェーダ

スリランカにはデーシャチャキッサというスリランカ固有の伝統医療があり、インドのアーユルヴェーダ医学と融合したものがスリランカアーユルヴェーダです。インドのアーユルヴェーダとの違いとしては、スリランカ独自のハーブ・薬草が多く使われていることです。スリランカでは、1961年にアーユルヴェーダ法を制定し、1980年伝統医学省にアーユルヴェーダ課を創設しました。以後アーユルヴェーダは国の知的財産として、同省の管轄で研究、医師の育成、病院の設立と運営、生薬の保護などが行われています。

参考:http://www.ayurveda.gov.lk/

 本場にアーユルヴェーダを受けに行くならインドそれともスリランカ

私の周りを見ていると、アーユルヴェーダを本場に受けに行くなら”スリランカ”という方が”インド”より圧倒的に多いです。その大きな理由として挙げられるのが、

 国民性の違い、国の印象

スリランカは日本と同じく海に囲まれた小さな島国で、メイン宗教は仏教です。スリランカの人は全般的に勤勉で話し方もゆっくりで、優しい印象です。スリランカのアーユルヴェーダドクター、セラピストははにかんだような笑顔で接してくれます。がつがつ話しかけてきたりはあまりしません。シャイな印象です。

また国土が小さい分、インドに比べると観光地もコンパクトにまとまっていますので、はじめての方にはスリランカの方がおすすめしやすいというのもあります。

それに対してインドは広大でメイン宗教はヒンドゥーです。広大であるために東西南北でインド人の印象は全然違うのですが、一般的にボリウッド映画の印象が日本人には強いのではないかと思います。インドカレー屋さんに行けば大抵TVで流れています。ヒンドゥー教の神様は、キャラクターが濃く、人間っぽい嫉妬や妬みという感情をもっていたり、アイドル的存在で街中は神様Tシャツ、プロマイド、グッズであふれています。またインド人はとにかくしゃべるしゃべる!踊る、動き回る!

アーユルヴェーダドクターはまだしも、セラピストは施術中も歌ったり、セラピスト同士でしゃべったりは良くある光景です。また残念ながら都市部デリーやプネは車社会で排気ガスが半端ないです・・・インドに行くなら南インドが断然おすすめです!

南インドはアーユルヴェーダ発祥の地とも言われ、州を挙げてアーユルヴェーダをプロモーションしています。また北インドに比べて人ものんびりしていて、アーユルヴェーダを受けるのには適しています。また個人的には、インドアーユルヴェーダの薬用オイルをじゃばじゃばふんだんに使って行うツインのアビヤンガ(オイルトリートメント)が好きというのもあります。南インドに行くならエバーグリーントラベルさんがおすすめです。http://egkerala.com/ すごく親身にプランをたててくださいますよ。

 インドに比べてスリランカの方がビサの取得が簡単であること

インドの場合は専用のページ(英語)から膨大な数の質問に答えたものを印刷してビサセンターへ持参し、そこでOKだったらパスポートともにあずけて約1週間後に受け取りにいきます。しかし1回でOKが出ないことも多く、その場合はパソコンで一からやり直しという大変手間がかかります・・・

スリランカの場合には同じくネットでビサを申請しますが質問も少なく、1日以内にメールでビサが発行されます。

 日本人がプロデュースしているアーユルヴェーダ施設がスリランカには多くあること

アーユピヤサ(http://www.ayupiyasa.com/index_j.html)、Tree of Life(http://www.hoteltreeoflife.jp/)、カルナカララ(http://karunakarala.com/sparesort/ja/)など。

ちなみに私はシッダレーパという老舗アーユルヴェーダ施設に滞在したことがありますが、こちらには日本人を奥様にもち日本語堪能なマネージャーがいます。実は数あるアーユルヴェーダ施設の中でも空港から最も近いコロンボ市内にあり、かつ海に面しているというベストロケーションであること、スリランカでは老舗でアーユルヴェーダの病院も運営していることから医師のレベルが高いので個人的にはとてもおすすめです。

スリランカ シッダーレーパアーユルヴェーダ リゾート

アメリカで加速度的に普及するアーユルヴェーダ

2017年7月アメリカでアーユルヴェーダプラクティショナーとして活躍するマンソン美子先生による「米国アーユルヴェーダ~人々の変化と西洋医学との統合~」というセミナーがありました。

マンソン美子先生は、2012年California College of Ayurvedaを卒業し、現在アメリカテキサス州にて脳神経外科医とタッグを組みながら西洋医学で治療困難な患者をアーユルヴェーダとヨーガで治療しています。

アメリカでは、肥満、生活習慣病が深刻で、蔓延していますが、一方で医療は自由診療のため高額です。人々は健康に対して深刻な不安や問題を抱えており、そこから自分でなんとかしなければならないという意識の変化が起こり、アーユルヴェーダが急速に注目されていると言います。アーユルヴェーダのサプリメントが市場に並び、アーユルヴェーダのハーブが西洋医学の薬とともに処方されるケースも増えています。

また州単位ではありますが、先生が卒業したカリフォルニア・アーユルヴェーダ・カレッジのあるカリフォルニア州ではアーユルヴェーダが数年以内には保険適用になる動きがあるそうです。

その一方、2000年NAAMA(National Ayurvedic Medical Association)が設立され、アーユルヴェーダ大学における教育監査、プラクティショナーのライセンス整備、米国内で流通するアーユルヴェーダハーブの安全性を保証する活動が活発にされています。

マンソン美子 http://www.absolute-balance.com/index.html

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アーユルヴェーダ日本の現状 https://ayurveda.jp/japangenjo